小さな畑を継ぐということ
この畑は、私の祖父の代から続いています。継いだ10年前、正直に言うと不安しかありませんでした。うちのような小さな畑で、これから先やっていけるのか。
転機になったのは、就農して数年経った頃、同世代の生産者仲間から誘われて出かけた、九州のある小さな農家の直売所でした。決して大きな畑ではないのに、その農家さんは自分たちの野菜のことを誇らしげに語り、SNSでも畑の様子や失敗談まで惜しみなく発信していました。「うちは小さいから、逆に一人ひとりのお客さんの顔が見えるんです」。そう話してくれた言葉が、今でも耳に残っています。
自分の畑に戻ってから考えました。うちの畑は決して大きくない。でも、それは弱みではなく、ひとつひとつの野菜に手をかけられるということなんじゃないか。今では、畑の様子も、失敗した話も、隠さずに発信するようにしています。
三十種類を育てる理由
一種類を大量に作るのではなく、少しずつたくさんの種類を。それは効率で言えば決していい方法ではありません。それでも、食卓に彩りを届けたい、季節の巡りをまるごと感じてほしい、という気持ちでこの形を選んでいます。